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2017年(平成29年)1月5日  木曜日

Q.
  私は会社を経営しています。従業員への貸付金について給与から天引することは問題ないですか。
  

A.
 使用者は原則として労働者に対し賃金全額を支払わなければならず、賃金の一部を控除して支払うことはできません。これを全額払いの原則といいます。
 この全額払いの原則には2つの例外があります。
 まず労使協定を締結した場合です。事業所の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働組合がないときは、労働者の過半数を代表する者との書面による協定を締結することにより賃金の一部を控除するというものです。
 労使協定には@控除の対象となる具体的な項目、A各項目別に定める控除を行う賃金支払日を記載する必要があります。例えば社内貸付制度による貸付金の返済金について賃金や賞与、退職金の支払時に控除する旨を記載することが考えられます。
 2つ目は労働者と控除について合意する場合です。合意は労働者の自由な意思に基づくものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在することが必要です。これが認められなければ控除はできません。
 具体的には同意に至った経緯や態様、労働者の利益の有無、時期、相殺額の多寡などを基準に判断されます。使用者は労働者に十分な説明を行って考える時間的余裕を与えた上で、書面による同意を得ることが必要です。
 控除の額については、労働者との合意に基づく場合には限度額はありません。労使協定の場合で労働者の意思に関係なく控除する場合は賃金額の4分の3については控除できないこととされています。労使協定により上限無く控除するためには、社内貸付規定という就業規則に該当する規程を設けて、控除することを定めるか控除することについて労働者の同意を得ておく必要があります。






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