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2010年(平成22年)9月21日  火曜日

Q.
   長引く不況によって人件費を抑制する必要があるため、当社は余剰人員を対象に退職するように働き掛けをしようと考えています。退職勧奨を行う時にはどのような点に注意しなければならないのでしょうか。


A.
 退職勧奨とは、従業員に対し退職するように働き掛け、自発的な意思による退職を促すことです。あくまで従業員の自発的な意思による退職ですから、この点で会社から行う解雇と異なります。会社の経営上の理由などから使用者が必要な説明を行い、従業員がこれを理解して自由意思により退職する場合には法的問題は生じません。
 退職勧奨での注意点は、退職勧奨が従業員の自由な意思の形成を基本とするので、これを阻害しないようにすることです。例えば従業員に圧力を加えて退職するか否かについて選択の自由を奪って退職届を出させることや、誇張や虚偽の説明により判断を誤らせる、退職勧奨に応じる意思がないのが明らかなのに執拗な説得を繰り返すなどは意思表示の無効、取り消し、または不法行為になる危険があります。
 裁判例では、懲戒解雇事由となるべき事実はないにもかかわらず懲戒解雇になると誤信して退職願を提出したときには、動機の錯誤にあたるとして合意退職を無効とした事例があります。また、上司が懲戒解雇事由に該当すると誤った判断を告げて退職願の提出を求め退職させたことが強迫に該当するとした事例もあります。
 長期間にわたって執拗な退職勧奨を繰り返し激しい疲労などに陥っているのに乗じて退職の申し出を行わせたことが強迫に該当するとした事例、退職の意思がない者に対し十数回にわたって勧奨行為を行ったことが不法行為に該当するとした事例などがありますので、退職勧奨を行う際の言動、態様は注意が必要です。



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